1. 入口からすでに美味しい予感
北海道・美瑛町をドライブしていると、どこまでも続く丘と青空のコントラストに心が癒やされる。そんな美瑛の国道沿いに、ふと目を引く木造のカフェが現れる。それが「花人(はなびと)カフェ」。
店先に並ぶ色とりどりの花々と、窓から漏れるあたたかな灯り。車を止めてドアを開けた瞬間、ふわっと鼻をくすぐるのは、どこか懐かしくも奥深いトマトとバターの香り。すでにこの時点で、ただならぬ「ナポリタン」に出会えそうな予感がする。
2. 見た目は“あの頃”のナポリタン
運ばれてきたナポリタンは、思わず「これこれ!」と心の中で叫びたくなるような、王道スタイル。つややかなトマトソースがしっかりと絡まった太めのスパゲッティ。その上には、こんがり炒められたピーマン、玉ねぎ、そしてどこか懐かしさを誘う輪切りのウインナー。
見た目はまさに、昭和の喫茶店を思わせる「定番ナポリタン」。けれど、その香りと湯気の立ち方が、どこか違う。「これはただのレトロメニューじゃないな」と期待が高まる。

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3. しかし、味はただの懐かしさではない
ひと口食べた瞬間、その予感は確信に変わる。
まず感じるのは、トマトの酸味と甘みのバランスの良さ。これはケチャップだけじゃない。おそらく自家製のトマトソースが使われていて、トマトの果肉感がしっかり残っている。ソースにはオリーブオイルやバターのコク、ほんのりと感じるガーリックの香りが奥行きを与えている。
そして、ソースと麺の絡み具合が完璧だ。炒められた麺はもちもち感を保ちつつ、しっかりとした“香ばしさ”がある。ところどころに感じる焦げ目が、味のアクセントになっていて、箸(いや、フォーク)が止まらない。
4. イタリアンの技法が光る“ごちそうナポリタン”
「花人カフェ」のナポリタンは、いわゆるB級グルメのナポリタンとは一線を画す。麺の茹で加減から炒めのタイミング、そしてソースとの乳化(油と水分を一体化させる料理のテクニック)まで、明らかに“ちゃんとした料理人”の仕事が見える。
しかも、最後にふわりとかかったパルメザンチーズの風味が絶妙。全体をまとめ上げる、まさに「仕上げの一手」だ。チーズの塩気とコクがトマトソースと絡み合い、味にさらなる奥行きを与えている。
これほど丁寧に作られたナポリタンは珍しい。懐かしさを残しながら、イタリアンのエッセンスが自然に溶け込んでいて、「ただのナポリタン」ではなく「一皿の料理」として完成されている。
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5. 食後の余韻と、もう一度食べたくなる衝動
食べ終わった後も、口の中にはトマトの旨味とチーズのコクが心地よく残る。食後のコーヒーを飲みながら、ぼーっと窓の外の景色を眺めていると、次にまた美瑛に来たときも、このカフェに立ち寄ってしまう気がしてならない。
あの香り、あの炒め具合、あのソースの深み。思い出すだけで、すぐにでも再訪したくなるほど魅力的なナポリタンだった。