台東区柳橋、神田川に近いビルの地下1階にある「洋食 大吉」。1970年創業の老舗洋食店で、食通として知られた作家の池波正太郎も通ったと伝わる名店です。今回はバジリコのスパゲッティを食べに寄りました。
浅草橋駅から歩いてすぐ。黄色い看板を目印に地下へ降りると、赤と白のギンガムチェックのテーブルクロスが並ぶ、思いのほか広い店内が広がります。奥には座敷もあって、80席あるそうです。

青じそたっぷり、洋食屋のバジリコ
運ばれてきたバジリコは、湯気の立つスパゲッティの上に刻んだ青じそがこんもり。具材はベーコン、マッシュルーム、玉ねぎ、ピーマンと、洋食屋らしい顔ぶれです。
バジルの香りに青じその爽やかさが重なって、見た目よりずっと軽やか。オイル系のソースが麺によく絡み、ベーコンの塩気とマッシュルームの旨みが後を引きます。ピーマンのほろ苦さもいいアクセントで、ボリュームがありながら最後まで飽きずに食べ切りました。
イタリアンのバジリコとはひと味違う、洋食屋ならではの和の取り合わせ。粉チーズやタバスコで味を変えながら食べるのも、この手の一皿の楽しみです。
主役級が並ぶ大吉のメニュー
大吉といえば、岩中豚を使った料理やハンバーグ、エビフライが看板。ランチは品数が絞られていますが、どれも主役級です。公開されているメニューからいくつか挙げると――
- Aランチ:980円
- スペシャルセットランチ(エビフライ&ハンバーグ):1,800円
- ハンバーグとカニクリームコロッケ:1,350円
- 昔風ハンバーグとカニクリームコロッケ:1,600円
- 岩中豚のトンテキ:1,320円
- 岩中豚のカツレツ:2,000円
- メンチ、コロッケ定食:850円
- ナポリタン:1,200円(夜のみ)
夜はお酒の品揃えも充実していて、居酒屋のように使う常連も多い店です。次は夜に、岩中豚のトンテキとビールで一杯、が目標です。
花街・柳橋の面影と、半世紀の地下の名店
お店のある柳橋は、江戸時代から神田川沿いの花街として栄えた土地です。芸者衆でにぎわった料亭の時代は1999年に最後の料亭が店を畳んで終わりましたが、神田川にはいまも船宿があり、老舗の料理屋が点々と残ります。
その柳橋で1970年に生まれた大吉は、半世紀以上にわたって下町の洋食の味を守ってきました。池波正太郎が好んだのは牛肉のうす焼きだったとも伝わります。作家の通った席でスパゲッティをすするのも、この店ならではの時間の重なりです。
下町の洋食に凝縮された、東京の食の歴史
地元の飲食店に惹かれるのは、その土地の歴史や文化的背景が一軒の店に凝縮されているからです。とりわけ東京の下町の洋食は、その分かりやすい例だと思います。
明治以降、東京には西洋文化が他の地域より早く入り、洋食は下町の日常食として根付きました。一方で、江戸時代からの食文化も根強く残っています。新しいものと古いものが同じ街に同居しているのが、下町の食の面白さです。
大吉はその縮図のような店です。ハンバーグやカツレツといった西洋由来の料理が、地下の座敷でも供され、ランチのセットには味噌汁が付く。西洋の料理が日本の暮らしの形に合わせて姿を変え、半世紀かけて「地元の味」になりました。バジリコに青じそを合わせる感覚も、その延長線上にあるように思います。
店舗情報
- 店名:洋食 大吉
- 住所:〒111-0052 東京都台東区柳橋1-30-5 KYビル B1F
- 電話:03-3866-7969
- 営業時間:ランチ 11:30〜15:00(L.O. 14:00)/平日ディナー 17:30〜22:00(L.O. 料理21:20)/土・日・祝日ディナー 17:00〜21:00(L.O. 料理20:20)
- 定休日:第2・第4土曜日(詳細はお店のInstagramで案内されています)
- アクセス:都営浅草線「浅草橋」駅A6出口から徒歩2分、JR総武線「浅草橋」駅東口から徒歩4分
※営業時間・定休日・メニュー価格は変更になる場合があります。訪問前にご確認ください。
宿泊の案内
浅草橋・柳橋エリアは、浅草寺や隅田川へのアクセスがよく、都営浅草線で羽田・成田方面にも出やすい、東京滞在の拠点にしやすい場所です。お店の近隣で宿をお探しの方は、こちらも参考にどうぞ。
浅草橋駅近くの「変なホテル東京 浅草橋」は、お店からも歩いて行ける立地です。
▶ 変なホテル東京 浅草橋(Agoda)
※宿泊プランの内容や料金は、リンク先のページでご確認ください。
半世紀続く店の味は、やっぱり確かでした。ごちそうさまでした。

